
「本歌取り」という言葉があります。皆様ご存知ですか。
「本歌取り」とは、簡単に言うと、
「古い歌を手本とし、新しい歌を生み出すこと」です。
もともと和歌の用語なので、現役の高校生の方がしっているかもしれませんね。
藤原俊成が生み出し、藤原定家によって大成されたというこの技法は、
『古今和歌集』によく見られ、その特徴の一つとして挙げられます。
受験生の皆様は覚えておいて損はありません。
さて、この技法について、二条良基の書いた連歌論書『連理秘抄』というものがあります。
それより引用します。
古歌をよくよく覚悟すべし
また採り様を知らざれば、可笑しきものになる也、あざやかに採るべし
しかし古物の様なるも悪しく、
また一向に本歌とも聞こえぬも詮無い
※覚悟・・・よく知って覚えておくこと。
※古物の様・・・使い古したものの様
本歌とするべき古い歌を、よく知っておきなさい
また引用の仕方を間違えると、変になるので、上手い具合にやるように。
上手く出来ても、使い古した感じに聞こえると良くないし、
本歌がわからないほど変えてしまっても、本歌取りの意味も働きもなくなる。
とありますが、これはまあ和歌のお話です。
茶道具でよく言われる「本歌取り」も、この技法をもととしますが、
違うのは、家元や茶人などが既に好んだ、いわゆる「好み物」を少し変えて、
自分の好みにすることを「本歌取り」とか、「再好み」などといいますね。
これは思っているよりもずっと難しいことで、本歌に近すぎるとただの真似ですし、
遠すぎると本歌取りとはなりません。
真似と思われないように、引用しつつ、自分の創意工夫を織り込むのは難しいでしょう。
茶碗でよく「仁清写」や「乾山写」というものがあります。
これも上絵付けの大成者である両巨頭に対して、本歌取りを目指しているのかも
しれません。
それでは今回はこの辺で。
さようなら。
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