今日は私の好きな言葉についてお話させていただきます。
その言葉は「無事是貴人」です。
この言葉は臨済宗の祖である臨済禅師の言葉をまとめた『臨済録』という書物にある言葉です。
意味は直訳すると
「無事である人こそが貴人である」
という意です。そのままですね。
一応、本文と解説を載せておきます。
【本文】
無事是れ貴人、但だ造作すること莫れ、祗だ是れ平常なり
無事である人ことが貴人である。
無事とは作為せず無造作(あるがまま)であること。
つまり日常を平常として過ごすことである。
当時の禅宗が栄えたのは、中国唐代の頃でした。初祖達磨から六祖慧能に続いた後のころですね。
それまでの中国の思想としては、孔子、孟子、荀子などの儒教の考えと、老子・荘子らの老荘思想の両者が並び立っていました。
儒教の教えは統治者に向いたもので、儒者は政治の中枢で活躍していました。
一方民間の間では、老荘思想が民間信仰と結びつくことで、深く根付いていました。
大乗仏教の一派である禅宗もこの老荘思想の影響を受けており、無為自然を尊び、清貧に隠棲することを、その教義に取り入れました。
この言葉にもそんな、老荘思想の影響が見られますね。
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