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茶楽悦楽

茶道具のオススメや好きなものを中心にレビューします。

   

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『十水五石』 宮川香斎さんのお話


今年の大河ドラマは『八重の桜』ですね。

私はあのドラマの幕末の動乱の部分が面白くて、八重さんの部分なんかは退屈に感じてしまうのですが、妻に言わせると八重さんの恋愛ドラマ的な部分こそ面白いと言うので、わからないものです。

そこで、ちょっと「幕末」と「茶道」に引っ掛けて色々話して見たいと思います。

今日はその第一回です。


今日は真葛香斎さんについてです。
真葛さんといえば、染付や色絵の陶磁器を京都でも指折りの陶工です。

その真葛香斎さんの茶碗や水指などを買った際、共裂と呼ばれる器を包む布があるのですが、そこには「十水五石」と書かれた印が押してあるのを見た人もいると思います。

実はその印を授けたのは、綾野剛さんが演じる会津藩主松平容保公なのです。


松平容保公は、会津藩主の立場のまま京都守護職を拝命し、京都において御所を中心とした治安維持の任についた方です。
幕末史を好む方々ならば、知らない方はいない高須四兄弟の一人です。

ちなみに現在の徳川宗家はこの容保公の家系を継いでいます。


さて、この松平容保公が京都守護職で京都にいる時、何かの縁によって、初代の宮川香斎さんが容保公にロクロの技を披露するということになりました。

そこで見事な技を見せた香斎に対し、容保公は褒美として着ていた葵の御紋の羽織と高張提灯を香斎に渡し、さらに「十水五石」の印を与えたのです。

ちなみにこの「十水五石」の意味は、水墨画のことわざみたいなもので、水を上手に描くには十年の歳月がかかり、石を巧みに描くにはさらに五年の月日がかかるという意味だそうです。

この言葉の由来となった漢詩があるそうなのですが、ちょっとそこまでは調べきれませんでしたので、お分かりの方はコメントで教えていただけると嬉しいです。


短いですが、今日はこの辺で。
中々ネタが見つからないです。。。


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濡れ水指の魅力のお話


今日は濡れ水指の話でもしようかと思います。

濡れ水指とは、無釉の水指の陶肌を湿らせて用いることです。
信楽焼や備前焼、伊賀焼、丹波焼、南蛮手などに使うやり方です。

無釉の土肌は、水を含ませることで艶が増し、素地の発色が美しくなります。

さらに席中で徐々に陶肌が乾いていきますので、そこで水指の景色が変わっていくという面白さもあります。

水に濡れた色味は如何にも涼しさを感じさせますので、暑い時季の趣向としても喜ばれます。


ただ、この水を濡らす趣向ですが、きちんとしたやり方でやらないと畳や棚が傷んでしまいますので、ご注意下さい。

まず、点前で使う時間の五十分くらい前から十分ほど水指を水に付けておきます。

それから水から取り出して、水屋の簀子の上に少し置いておきます。

次に固く絞った布巾でしっかりと表面の水分を拭きます。

これでOKです。

これから暑くなる時期に、濡れ水指の趣向でお楽しみ下さい。


それでは今日はこの辺で
さようなら。

七種の蓋置のお話

この間ふとした時に、昔お茶の先生から聞いた話のことを思い出したので、今日はそのことについて書こうと思います。
と言っても大したことではないので、もったいぶらずにさっさと書いてしまいましょう。


私が先生から教わったのは、タイトルにある七種の蓋置の覚え方でした。
記憶の通りに書いていきます。


 「三つのものは三つ有り

 「海のものは二つ有り

 「一つのものも二つ有る


三つのものは「三つ葉」「三閑人」「五徳」(五徳の爪は三本あるので)の事ですね。
そして海のものは「栄螺」と「」です。
一つのものは「一閑人」と「火舎香炉」の三つです。


と、それだけでは内容も何もあったものではないので、ちょっとこの蓋置たちについてちょっと説明をしていきましょう。

蓋置の本来は輪の形をしたもので、現在の皆具の内の一つになっているものがそうですね。
本来は仏具の為、華美な装飾は無かったものの、肩や胴に筋がある程度の装飾は見られたます。


                        ↑
                 これの小さい道具がそうですね。

その後、この皆具というものは、茶の湯の世界のものとなります。
水指、杓立や建水(翻とも)には、使用上一定の形が必要とされる為、用いられる器の形には制限がありましたが、蓋置の用途は釜の蓋を置ければいいだけなので、形は千差万別でした。

特に茶人たちは、違う世界のものを茶の世界に取り入れることによって、「見立ての文化」を生み出したとも言えるでしょう。


この時代の人たちの違う世界とは何だったのでしょうか?

茶の湯よりも古い文化としては、まずは「能の世界」があります。
 ※「能」という言葉よりも「猿楽」という言葉でもいいのかもしれません。

次にあるのが「連歌の世界」ですね。
武野紹鴎が最初に目指したのが連歌師ですから、割と近い世界だったのかもしれませんね。


さて、能の世界のものといえば、多くは衣装や扇子と言ったところでしょうか、なので蓋置に丁度良い道具があまり見つけることができません。

では連歌の世界ではどうでしょうか?
筆や硯などの文具には、凝ったものも多く見られました。



前置きが長くなりましたね。
まあ周知の通り、蓋置には文具由来のものが多くあります。

先ほどの蓋置のうち、「蟹」は文鎮から、「一閑人」「三つ葉」「三ッ人形」は筆置きから見立てたものだと言われています。
「栄螺」は文鎮からとも水滴からとも言われていますが、はっきりしないです。


「火舎香炉」はそのまま仏具です。
仏具屋さんに行けば普通に見ることができる、仏前に香を供える為の道具です。
その為、七種の中では最も格式が高いと言われています。


最後の「五徳」ですが、これはそのまま炉中にあった釜を据える道具「五徳」を蓋置のサイズに変更したものです。これは他の道具からの転用という訳ではないのですが、別名があります。

それは「隠家(いんか)、陰架、隠架」という名です。

言葉の意味は「茶釜の陰に隠れるもの」として蓋置全般を指すこともありますが、多くは五徳の蓋置に対して使う呼称です。
炉中にあっても釜の底にあって見えなく、蓋置として席中にあっても釜蓋の下で見えないところからの名称ですね。茶人らしい命名です。

それとは違う名称に別称に「火卓」というものもあります。
これは炉中にある最中をそのまま表現した名称です。


蓋置は調べるのも見るのも楽しい道具です。
この機会に、蓋置のコレクションを楽しんでみれば如何でしょうか?



石盃のお話

そろそろ春の暖かさが感じられるようになりました。
ひと昔前は、春といえば「暁を覚えず」というように、なんとなく眠気が取れずに布団の中でぼんやりしていた記憶があるのですが、最近は鼻のつまりで中々熟睡できなくなってしまいました。

この忌々しい花粉症めっ! と苛立ってしまいます。



さて、タイトルの「石盃」ですが、呼び方は「せきはい」と呼ばれます。

まあ「いしはい」でも「いしさかづき」でも間違いではないのですが、この呼称は塗り物の引盃(ひきはい)に対応する言葉なので、ここは「せきはい」のままで呼ばせてもらいます。


写真を見てもらいましょう。
こんなのです。
石盃


「ぐい呑」という呼び方の方が、広く知られていますね。

元々「ぐい呑み」は、仰向いてぐいっと飲むところから付けられた名称と言われており、江戸時代頃より呼ばれるようになったそうです。

それまでは酒に使う器、つまり酒器と総称されていました。


そして酒器には素材別に、木製と陶磁器のものとに分かれていました。
もちろんガラスなどもありましたが、ここではちょっと割愛します。


木製の盃はこんなものが多いですね。
引き盃

神前の結婚式などで、見ることもあるかと思います。
これは通称「引盃(ひきはい)」と呼ばれます。

名称の由来は諸説あるものがほとんどですが、これもその例に漏れず、幾つかの説があります。

○茶席で客が順番に引き取るところからの名称。

○「引」という字は、「挽物(ひきもの)」の呼称である。 挽物とは木を挽いて作ったもののこと。



さて、名称の由来が後者である理由の一つには、今日のタイトルにある「石盃」という名称が一つの論拠になります。つまり「挽物」に対する「石物」という訳ですが、実は少し不正確です。
つまり陶磁器の呼び方では、磁器のことを「イシモノ」、陶器のことを「ツチモノ」などと呼称します。
これを厳密に考えると、「ヤキモノ」と呼び、「焼盃(やきはい)」と呼ぶのがいいのかもしれませんが、通称は分かりやすく、周知しやすいものがいいので、「木」に対しての「石」はまあイメージしやすいものですね。


石盃は、俗に「かわらけ」と呼ばれるものとは区別されて使われます。
「かわらけ」とはこんなのです。
かわらけ


またぐい呑と区別されるのに「お猪口」というものもあります。

ぐい呑よりも小振りの器で、少しずつお酒を楽しむときに用います。
これも江戸初期あたりから流行したようです。


では簡単に纏めましょうか。

はいっ!






とまあ、こんな感じですかね。


今日、本当はぐい呑の話題にして、お酒の話でも書こうと思ったのですが、相変わらずの脱線で、話が飛んでいってしまいました。お酒の話はまた今度にしましょう。

それでは今日はこの辺で。
さようなら。

すごくオススメの本です!




いきなりですが、今日は一冊の本を紹介させていただきます。


樫崎櫻舟著  『茶を楽しむ男たち』 
この本は昨日読み終えたのですが、読後感がすごかったです。

著者の樫崎櫻舟(かしざきおうしゅう)氏は、東京八王子で利休ゆかりの茶室獨楽庵を管理運営しつつ、懐石料亭「美ささ苑」の経営をしています。

さらに「茶の湯と美を楽しむ会」通称「楽の会」を主催しており、そこで著者を聞き手とした文化サロンを行っていました。
この本はその中でも、特に男性の茶人や茶にゆかりのある人物との話を文章化し、一冊の本にまとめたものです。

登場するゲストについて少しだけ紹介しましょう。

池内克哉氏
   東京近辺のみならず、全国の古美術ファンの中で知らない方はいないのでしょう。
   池内美術の主人で、茶道界の重鎮とも呼ばれるすごい人です。
   
矢部良明氏
   人間国宝美術館館長、薩摩伝承館管長となっており、数多くの著書もある方です。
   我が家にも多くの本があります。

村瀬治兵衛氏
   木地師であり、漆工芸師さんです。この話は三代さんなのですが、治兵衛さんと言えば、
   初代がすごい人です。隠居後に趣味で楽焼を焼いたら、思いの外上手だったので、
   それが縁で千家の箱書が付くようになったという逸話もあります。
   代々なぐりを呼ばれる技法などを駆使し、木目を生かした道具を作る人です。

林家晴三氏
   陶磁研究家としては、日本で一番であろうすごい人です。
   書籍も多いのですが、その守備範囲の広さは驚嘆の一言の方です。
   東京国立博物館の名誉館員にもなっている、とくかくすごい人です。



この他にも、様々な著名人が出ていますので、お楽しみ下さい。

この本は、それぞれのゲストのお茶に対する思いやきっかけ、さらには茶の世界とは何かというようなことなどを、詳しく聞き出しています。それは、聞き役がこの樫崎氏であることが大きいのだと思いますが。


さて、これ以上は話してもしょうがありません。
一度本を開いてみてください。

特にお茶にゆかりのある男性の方は、是非一読してみてください。  
大げさに言うと「人生観変わります」ですね。

私の2013年のベスト本の一つですね!



プロフィール

HN:
ゆげ丸
性別:
男性

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